活動後増強について④
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
4回目の今回はコンディショニング活動で、
可変抵抗を用いたエクササイズを行う場合について書きます。
可変抵抗を用いるとはどういうことかというと、
チューブやエラスティックバンドなどを使い、
全可動域で最大筋力を発揮させることができるというものです。
例えばスクワットの場合、大腿四頭筋にかかる負荷は最下点で最大になり、最高点で最小になります。
ここにバンドやチェーンを用いることによって最上点でもそこにバンドやチェーンによる負荷が加わるため、
常に負荷をかけることができます。
このように一定の負荷ではなく、
挙上位置などでかかる負荷が変わることが可変抵抗になります。
スクワットの場合85%1RMで15%の可変抵抗で行うと、
立ち幅跳びの記録が4〜6%ほど向上したという研究結果があります。
また、可変抵抗を用いたエクササイズの良い点は、
これまでにお伝えしたエクササイズより、休憩時間が短くてすむということです。
同じ負荷でフリーウェイトで行った際は5分以上の休憩が必要となりますが、可変抵抗だと90秒で済みます。
なので、ただフリーウェイトを行うより、バンドなどで可変抵抗をフリーウェイトに加えた方が効果が高くなります。
また水泳や格闘技の特異的動作に可変負荷を加えてウォーミングアップを行うことでもPAP効果は出るという結果も出ていますが、
これはどの程度の負荷がPAP誘発に最適なのかはまだ出ていません。
もしウォーミングアップにフリーウェイトが使用できるなら可変負荷も加えて、
場所や環境が制限されてフリーウェイトが使えない場合や、
競技特異的動作を行いたい場合に可変負荷を用いると良いと思いますので、
コンディショニング活動としてうまく活用してください!
活動後増強について③
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
3回目の今回は前回にもお伝えしたように、スプリント系のコンディショニング活動について書きます。
スプリントパフォーマンスのコンディショニング活動としてスレッドプル/プッシュなど、
負荷をかけて行うスプリントを利用することがあります。
研究によると、自重の75%によるスレッドプッシュを1×15メートルを行うと20メートルのスプリントタイムが1〜2%向上したという結果が出ています。
逆に自重の125%のスレッドプッシュを1×9メートルを行わせると20メートルのスプリントタイムは低下しました。
同じくスレッドプッシュでも同じような結果になりました。
この結果から高重量のスレッドプッシュ/プルは無負荷でスプリントする際の前傾角度や股関節の角度を増加させるなど、
スプリントのテクニックを変化させ、機能的な加速を損なわせる可能性があるといえます。
また低負荷(自重の20〜30%)で行うとスプリントタイムは向上しないという結果が出ています。
以上のことから、自重の75%でスレッドプッシュ/プルを行うことがPAPの誘発に最適であるといえます。
しかし、この方法はフィールドや人工芝で行わないと床などを傷つけてしまうため、
コンディショニングを行える場所が限られているのが欠点です。
ラグビーや陸上競技などなら場所には問題ないと思いますので、
ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?
活動後増強について②
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
前回から活動後増強(PAP)について書いていますが。
今回は前回にもお知らせしたように、
活動後増強のために行うエクササイズの長所や短所について書いていきたいと思います。
まずはフリーウェイトトレーニングです。
バーベルやダンベルなどのフリーウェイトでのエクササイズはPAPを誘発させるために行う最も一般的なコンディショニングです。
例えばデッドリフトやスクワットがありますが、
デッドリフトを85%1RMで4セット×2レップ、インターバルを90秒で実施すると、
立ち幅跳びのパフォーマンスは約4〜5%向上したという研究結果が出ています。
またスクワットは垂直跳びの一時的な能力向上を目的としてコンディショニングに取り入れられることが多いです。
また同じスクワットでもパラレルスクワットのように、
深く行うスクワットの方がより大臀筋を活性化させることができ、能力向上の値が大きくなります。
短所としては、
フリーウェイトで行う際はある程度の挙上テクニックが必要になること、
設備が必要であるということ、
挙上負荷や量、休息時間を間違えると逆に疲れが溜まってしまうことなどがあります。
みなさんもご自身でPAPを行うときは逆効果になってしまわないように注意してください。
次回はスプリント系のコンディショニングについて書こうと思いますのでお楽しみに!
お正月休みのご連絡
こんにちは!
痛みや不調からの改善・コンディショニング担当のアスレティックトレーナーMasaです。
今年も残すところわずかとなりました。
一気に冷え込んできましたが、お身体の調子はいかがでしょうか。
お力添えによりトレーナー業務を比較的進めることができ、心より感謝しております。
来年はより一層お役に立てるよう励む所存ですので、
引き続きご指導、ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします。
今後も引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止に取り組んでまいりますので、何卒ご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
と。。。
久しぶりに堅苦しい文章を送ってみましたが窮屈です(汗)
やはり僕には合っていないので来年の取り組みや目標等も含めて、
皆さんに新年早々メッセージをブッ込んでいきたいと思っています!!
気持ちはメラメラと燃え、ますます高まっていますよ!!
漸減トレーニングについて②
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
筋トレを行うにあたって最大筋力を向上したいのか、
筋持久力を向上させたいかなど目的によって重量や回数を設定してトレーニングを行うことが一般的です。
筋力向上なら80%1RM、筋持久力ならだいたい30%1RMで行うことが基本なのですが、
この方法だと一度に筋力か持久力かどちらかしか向上させることができません。
しかし漸減トレーニングを行うことによってこのどちらも向上させることができるかつ、
トレーニング時間の短縮も可能になります。
ある研究では、
グループを80%1RM×3セット、30%1R M×3セット、80%〜30%まで負荷を漸減させていく3つのグループに分けて8週間で20回のトレーニングを行いました。
トレーニングの結果、全てのグループで筋肉の横断面積は増加し、1RMは80%と漸減トレーニングをしたグループが増加しました。
一方で30%RMでの反復回数は30%1RMと漸減のグループで有意に増加しました。
つまり、漸減トレーニングを行うと筋肥大と筋持久力、筋力が同時に向上するということになります。
さらにはセット間の休憩も他のトレーニングと違いほとんど取らないので時間短縮も可能です。
より筋力向上や筋持久力向上に特化する場合はさらに広い幅でトレーニングをする必要はあるかもしれませんが、
バランスよく効率的に鍛えるのであればこの漸減トレーニングは理にかなっていると思います!
また次回は漸減トレーニングの方法を詳しく紹介したいと思いますのでお楽しみに!
活動後増強について①
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
活動後増強(PAP)はコンディショニング活動後に筋パワーの発揮能力が高まることをさします。
筋のパワー発揮能力を一時的に向上させる効果があるため、
トレーニングや試合や競技会の前に行うことが多いです。
PAPはバリスティックな運動を行う前にコンディショニング活動として、
エクササイズを行い、その量や負荷休息時間をコントロールして誘発します。
PAPが起こるメカニズムとしては運動単位の増加、筋肉の羽状角変化などが考えられています。
このPAP効果を得るために行われている運動を挙げると、
最大強度またはそれに近い強度でのフリーウェイトの挙上、
プライオメトリックエクササイズなどがあります。
しかしPAPのためのコンディショニングエクササイズを行う場所などの環境要因によって、
エクササイズの方法や強度などは変化させる必要が出てくる場合もあります。
そういった時にコーチやトレーナーが最も適したエクササイズを処方する必要が出てきます。
次回からは各エクササイズの長所や短所などを紹介していきたいと思います!
漸減トレーニングについて①
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
今回からは漸減トレーニングについて書いていきたいと思います。
これまでは漸増トレーニングが主流の考え方だったと思いますが、
最近新たに漸減トレーニングに注目が集まっています。
初回の今回は漸減トレーニングとは何かを紹介したいと思います。
関節を介してエネルギーを生み出す筋肉の収縮力、
収縮のためのエネルギー供給能力の向上は運動のパフォーマンス向上に関係するとされます。
これらの項目を効率よくかつ効果的に鍛える方法として考案されたのが漸減トレーニングです。
ターゲットとする複数の体力要素を向上させるために必要とされる負荷などを設定し、
それを高い順から休みなく行うことによって短時間で向上させることができるのではないかという理論です。
実際に筋トレや有酸素運動のうようなエネルギー供給能力の向上に重点をおいたトレーニングにおいて、
仮説通りの結果が得られています。
漸減トレーニングは1セッションあたり数分間の運動で複数の要素を鍛えることが可能とされています。
このトレーニング理論が実証されて効果があるとなれば、
さらにトレーニング時間の短縮が可能となるので今後の研究に期待できますね!
次回からはより詳しく書いていきたいと思いますのでお楽しみに!
筋肉量増加に適したレジスタンストレーニングとタンパク質摂取⑥
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
今回が筋肉量増加に適したトレーニングとタンパク質摂取についての最終回になります。
最終回の今回は1日でどのくらいの量のタンパク質を取ればいいのかを説明します。
おさらいとして、筋肉の合成はタンパク質、
特にロイシンの濃度に依存するというのをお伝えしました。
ある研究では若年者の1度の食事で体重×0.24gのタンパク質を摂ると筋肉の合成速度が最大になるという結果が出ています。
1日のトータル摂取量で考えるのではなく、
各食事それぞれでしっかりと必要なタンパク質量を摂取することが重要になります。
また年齢が増すにつれて筋合成に必要なタンパク質は増加するのでその辺りも意識して食事することが大切です。
ただし過剰にタンパク質を摂ると使用されなかった分が脂肪として蓄えられるので、
とりすぎにもご注意ください。
筋肉量増加に適したレジスタンストレーニングとタンパク質摂取⑤
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
5回目の今回は異なるタンパク質と同化作用について書いていきます。
タンパク質にも種類があり、
ホエイタンパク質とカゼインタンパク質という物があるのを聞いたことがあるかと思います。
こういったタンパク質をトレーニング後に摂取することによって筋タンパク質の合成量が増加します。
しかしタンパク質の摂取量が同じでも種類によって運動後の反応は異なってきます。
例を挙げると乳タンパク質は大豆タンパク質と比べて運動後の筋タンパク質の合成速度が高くなります。
これは乳タンパク質に含まれているロイシンの含有量の違いによるもの、
あるいはタンパク質の種類によって消化吸収される速度が違うことだと言われています。
同じタンパク質量でも乳タンパク質の方が大豆タンパク質に比べロイシンの含有量が多く、
大豆タンパクと比べて約17%高くなります。
これに対してカゼインタンパク質は胃酸により凝固・沈澱するため吸収する速度がゆっくりになります。
つまり就寝前やトレーニング間の持続的なタンパク質吸収にはカゼインの方が適しています。
以上のことから食事、
あるいはサプリメントとしてタンパク質を摂取するときはこういった消化吸収速度も意識しながら取ることが筋肉量増加への近道にもなります!
筋肉量増加に適したレジスタンストレーニングとタンパク質摂取④
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
4回目の今回は、運動とタンパク質摂取の組み合わせにおける注意点について書いていきます。
タンパク質やアミノ酸の摂取による筋合成刺激は数時間しか作用しないので、
筋肉を食事だけで増加させることは難しいです。
しかしトレーニングによるタンパク質の合成速度の増加は、
運動後24〜48時間程度持続します。
トレーニング後24時間は、
食事によるタンパク質の出納バランスがプラスに転じる時間帯を長引かせることができます。
このようにトレーニングが長期に渡り実施され、
適切な食事と組み合わさることによってより効果的な筋量の増加に繋がります。
続いてタンパク質の摂取するタイミングについて紹介します。
筋トレをするにあたって、
タンパク質を摂取するタイミングとしてトレーニング実施直後が最も相乗効果が高く、
運動後から時間が経つにつれて同化作用は低下すると言われています。
以上のことから筋トレとタンパク質摂取はセットとして考え、
運動後できるだけ早くタンパク質を取るようにしながらも1日の食事バランスにおけるタンパク質量も意識して、
バランスのとれた食事を心がけましょう!
筋肉量増加に適したレジスタンス運動とタンパク質摂取③
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
3回目の今回はレジスタンス運動に伴う筋タンパク質の代謝について書きます。
ベンチプレスなどのレジスタンストレーニングは筋タンパク質の合成に重要な要因で、
日常生活を送る中でただ一つの筋肥大を引き起こすことができる物です。
食事と同じように筋トレを行うと、
1〜2時間ほどで筋タンパク質の合成速度が上がります。
これまでは筋肥大を目的としたトレーニングは最大挙上量の80%ほどで8〜10回ほど行うのが一般的に効率的であると言われていました。
しかし近年の研究結果から、
運動時の力積(50キロの重さを10回挙げれば50X10=500キロ)が運動後の筋タンパク質合成に最も強く影響する要因であるということがわかりました。
つまり、筋肥大に重要なのは運動強度が重要ということではなく、
少し低強度でも疲労困憊になるまで行い、
力積をできるだけ大きくすることで、
高強度での運動と同じように筋肥大をさせることができるということになります。
なので手元に高重量の物がなくて高強度でトレーニングができないけど筋肥大を目指したいという方は、
低強度でも疲労困憊になるまで(これが自分でトレーニングするときは難しいですが)運動することによって筋肥大を獲得することができるので、
頑張ってトレーニングしましょう!
筋肉量増加に適したレジスタンストレーニングとタンパク質摂取②
こんにちは。
スポーツ選手のコンディショニング兼パフォーマンスアップを担当しているトレーナーのマッチです。
今回は前回に引き続き、
摂取したタンパク質がどのように筋タンパク質を合成していくか紹介したいと思います。
食事後1〜2時間で筋タンパク質の合成速度は安静時と比べて約2倍になります。
食事で摂取したタンパク質はアミノ酸に分解されて筋肉へと運ばれます。
そこで一旦貯蔵され、
必要とされた時に筋タンパク質の合成に使われます。
このアミノ酸摂取によるきんタンパク質の合成刺激は容量依存効果があるので、
血中のアミノ酸濃度が高ければ高いほど筋タンパク質の合成も速くなります。
この同化作用は主に必須アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン・リジン・ヒスチジン・スレオニン・メチオニン・フェニルアラニン・トリプトファン・小児はアルギニンも)によるもので、
中でもロイシンの血中濃度が強く影響を与えると言われています。
なのでロイシンが多く含まれる食品を摂ることによって筋タンパク質の合成速度も速くすることができます。
運動をしている人は1日で、体重あたり1〜2gのタンパク質を摂取することが望ましいので、
自分が1日にどのくらいタンパク質を摂取する必要があるか意識しながら食事をしていきましょう!